
へんちくりんな おはなし。
えーと、わたくし、引っ越しを予定しております。
で、しばらく前からぼちぼちと、荷物の整理や片付けを行っております。
まだ使えるかも!とか 未練あるんですけど!という品々を
冷静に考えて 断捨離モードで処分中。可燃ごみ不燃ごみ、出し出し。
今日、塾に行くためてくてくと 近所の住宅街を歩いていたところ
一軒の民家の軒先で 「おとしもの」と書かれた紙に目がとまりました。
その下にだらーんとぶらさがった、バッグ…。
バイエルンミュンヘンのマークに気付いて、わたしは思わず足を止めました。
めずらしい!2002年バージョンのバイエルン・ジムバッグだ!
私が持ってたのと同じかな……
と近付いて、ぎょっとします。
紐の結び方が、わたしのと同じ。
え?え?あれ?
近寄って見て、思わずバッグの中をあけて見て、驚愕。
これ、この裏地のはがれ具合、
まぎれもなく、わたしのジムバッグだ!
ぽかんとして、動けなくなってしまいました。
十二年間も使っていた、ドイツから通販で買ったジムバッグ。超お気に入りで。
でも、中の布地がはがれてきて真っ白になって、とても使用できなくなって
それで、断腸の思いで。
先々週に、不燃ごみに出したんでした。
なんで「おとしもの」に??
誰か、不燃ごみを不法に漁って、一見まだ使えそうなものを持ち出しているのか。
(うちの近所には、そういう業者がよく出没しています)
回収されるときに、ぐうぜん落っこちてしまったのか。
(それはありそうでなさそうだ)
いずれにしても、捨てる前にいったんきれいに洗ったジムバッグは
「まだ使えるよー。なんで捨てちゃうのー?」
と訴えているように見えたので
慌てて手持ちの紙とペンで「おとしもの」札をつけてくれた人にお礼を書いて残し
わたしはバイエルンバッグを。
茫然としたまま、手に持って。
そのまま塾に行ったんでした。
塾の生徒にその話をしたら
小6都立生たちは
「せんせい。その事件、なんか違法の廃棄物業者がからんでるっぽい」(←リアリスト小学生)
「えー、バッグね、きっとね、せんせいのところにもどってきたかったんだよ」(←ロマンチスト小学生)
と、意見がきっぱり分かれましたが
「ばいえるんってサッカーの名門じゃん!すげー、おれ、ほしい!ちょーだいっ!」
と叫び出した小6男子・テッシーがあまりにも喰いついてきたので
逆らいきれず せんせいはあっさり、戻ってきたジムバッグを譲り渡したのでした。
テッシーは天然の茶髪でお目目ぱっちりのキュートボーイ。
FC東京ジュニアのサッカー少年。
その小さな背中に背負われたバイエルンのジムバッグはあまりにも似合いすぎていて
すごくすごく、嬉しそうに見えました。
そっか、ドイツから来たサッカークラブチームの公式ジムバッグ、
サッカーしない(ボクシングしかしない!そのバッグにグローブとか入れてた)わたしに
長いこと所有されて 苦汁を呑んでいたのかも。
うーん、失くしたものが戻ってきちゃうのには、何らかのその訳があるのかもなあ、と
わたしは
「おれ、試合んときにこれ持って行こうっと!」と
浮き浮き帰っていくテッシーを見ながら
変な感慨にとらわれてしまったのでした。
バイエルンバッグ、こんどはサッカー少年のもとで 幸せに暮らすんだよー!