
ワンダーランドな釣り堀に行ってきました。
そもそもの発端は 釣りにはぜんぜん関係のない話です。
弟夫婦の次女、はづちゃんがピアノを習い始めたけれど
小さな鍵盤しか持っていないのでちょっと不便…と聞いて
私の家にあるキーボード(古い)を使ってもらうことにしたのです。
でも、はづちゃんばっかりプレゼントを貰ったら 長女のふじちゃんがかわいそうだと思って
これまた私の家にある、うさぎのぬいぐるみスピーカー(でかい)をあげることにしたのです。
多摩にある、弟の家に持っていこうと準備していたら
「一家総出で受け取りに行く」とのこと。
それもなぜか、私の家から遠くはないけれどそんなに近くもない
杉並の和田堀公園に隣接する
「武蔵野園」という釣り堀で…。
キーボードもスピーカーも、いちおう電子機器です。
水に落ちたらいっぺんでオシャカです。
なんでそんなスリリングな受け渡し場所を選ぶのか。
…うん、弟ヒロキがただ、釣りをしたいだけの話ですね。
というわけで重たいキーボードを持ち、口をパクパクさせながら踊るウサギを抱えて(音に反応して動く)
行ってまいりました武蔵野園。
ゆるゆるにレトロな佇まいで、建築そのものがすでに昭和です。
餌と貸し竿代込みで、料金は大人30分500円、一時間700円という安心設定。
しかも、私たちは一時半頃に入園したのですが、受付のおっちゃんは
「はーい、大人一時間ねー。三時まで釣ってていいよー」という気前の良さ。
濃緑の水がたぷたぷ揺れる釣り堀は、どんな魚が潜んでいるのかぜんぜん見えませんが
ビールケースをひっくり返した椅子に腰かけて、のんびり釣り糸を垂れている人々は
釣り果なんてあんまり関係なく、ただそこにいることでリラックスしている雰囲気です。
キーボードを通路にどしんと置いて、弟ヒロキとお嫁のかめちゃん、
小学生のはづちゃん、ふじちゃんwithウサギ(←抱っこしたまま離さない)が釣り竿を構えます。
私は見物。(釣らない人は無料で入っていいよー、とおっちゃん談)
十一月にしては暖かく、風もしずかな午後です。
小鳥の声。
遠いグラウンドから野球の音。
……。
……。
……。
釣れません。
一匹もかからないまま、雨が降り始めたのでお食事スペースに移動。
ドラマ「孤独のグルメ」で紹介されて話題になっているという、
これも昭和っぽさ半端ない食堂です。
ビニールハウスのような室内は温かく、なぜか壁のあちこちに動物のぬいぐるみがぶら下がっています。
吊るされたパンダや犬に取り囲まれて、オムライスや親子丼、焼きそばなどを食べました。
お味は見た目通り、懐かし~い感じの美味しさ。
ビニールクロスのかかったテーブルにお水のポットがどんと置いてあって(お約束)
昼間っからおじさんたちがビールを飲んでいて(お約束)
私たちのテーブルの上ではウサギがずっと踊り狂っていて(想定外)
ちょうどジャパンカップが始まったので私はワンセグで競馬を観ていて(問題外)
ひたすらに、のんびりとゆるい空間なのでした。
ビニールハウスのすぐ外で、小さな女の子が大きなフナを釣り上げていました。
釣り針を外すしぐさも堂に入っていて よくここに釣りにきているんだろうな…という様子です。
小学生の男の子が、二人で一本の釣り竿を借りて(子供は一時間500円)
ケンカしながらも交代で釣り糸を垂らしていました。
ちょっと場違いにオシャレして、デートの途中という風情のカップルもいます。
一日中居座るぞー、という風体と装備のおじいちゃんが
(大人は半日1900円…でも、きっと全日いてもオッケーなんだろうな)
二連の針がついた釣り糸をきれいなショットで投げていました。
なんとなく、この釣り堀がこんなにレトロな理由がわかったような気がしました。
地元の人が、小さなころから遊びに来て、大人になったらデートで来て、家族を連れてまた来て、
お年寄りになったら一日中、心行くまでここで釣りをして…
そんなふうに長年、いつもそこにある釣り堀として愛されてきたから
変わらない。
たぶんこれからも少しもここは、変わらない。
昭和レトロを気取った飲食店やテーマパークはたくさんあるけれど
「武蔵野園」は本当の意味で、ナチュラルボーンに
「懐かしい場所」です。
ゆるくて素敵な休日の午後でした(^^♪
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