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ツキノセカイヘ ノボル ユメ

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友だちが、死んでしまった。


嘘ではないかと思っている。
まだ信じてはいない。
お母様からのメールご連絡一通で
易々とそれを納得することなんてできない。

Iさんの、とんでもない冗談ではないかと思っている。
私の反応をみて、試しているんじゃないかとすら邪推している。
Iさんは、ひとを苦しませる冗談なんか
いちども言ったことのないひとだけれど。

知り合った当初から、Iさんは深く強く、死にたがっているひとだった。
理由はわからない。
そんなこと、言葉になるようなものではないと思う。

打ち明けて相談して貰って、わたしは全力で止めてしまった。
いやだいやだと言い続けた。
たぶんみんな、Iさんの友だちは
全力でその死への衝動をへし折ったんだと思う。

もしかすると、それは間違いだったのかもしれない、という
気持ちだけが 正解のないまま残されてしまった。

この年齢までに死ぬ、と言っていた時期の直後
Iさんは激烈な心の病を発症した。
それはすさまじく、現実感を奪い去っていく非情なもので
友人達は・・いやちがう。わたしだ。
わたしが勝手にやったことだ。
わたしは、親御さんに連絡して、Iさんを精神科に強制入院させてもらった。

緩やかな回復と、その後の静かな。傍目には静かな、
十年近くの年月。
Iさんはそのまま、ご実家でうさぎや猫さんとともに
体の不調を訴えながらも
静かに暮らしているように聞いていた。

Iさんにとっては、自分で考えていた寿命のあとの
余生だったのかもしれない。
あれほど美しい作品をつくっていたひとが
公の活動もせず、人にも会わず、ひっそりと。

いつも手紙には美麗な絵葉書を返してくれて
わたしの誕生月には故郷の果物を送ってくれる
優しく繊細なひとだった。そして寂しがり屋で。
透明な、この世ならざるような音楽を愛しているひとだった。

ご家族の病気に心をいためていて
ご自分も不調で、その体重は三十キロ代になってしまったと言っていた。

案じていて、案じながらも遠くにいるIさんにわたしはなにもせず
忙しがってばかりいて きっと遠慮をさせていて
気持ちに距離を持たせてしまっていた。

その矢先の訃報。

嘘なんだと、思いたい。
恩返しも、お詫びもしていなかった。
Iさんみたいに透明で優しい人には
もうたぶん、二度と出会うこともできない。

Iさん、ごめんなさい。
激しい発症でいちばん苦しいときに
普段の礼儀もなにもふっ飛ばして
電話をかけ続けてくれた、そんなに頼ってくれたのに
わたしはIさんを、桎梏みたいな現実に放り込むことしかしなかった。
なにが占い師だ。なにが心理士だ。
Iさんが本当にはどんな生き方、なくなり方を求めているのか
ちっともわかりはしなかっただなんて。

大馬鹿な自分を省みて悔しく、苦しい。

Iさんがくれた絵葉書の数々を ずっと見ている。

Iさんが辿りついた向こうの世界が
あのひとに心から優しいことを願うしか、できない。

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