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ワンドの3

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山頂で初日の出を見たことがある。

凍りつくような夜明け前の空の下、
御来光を拝むために詰めかけた人々で、山はぎっしりと混み合っていた。
厚いコートや毛布にくるまって、白い息を吐きながら
東の地平を見つめ続ける。

漆黒の空の裾がすっと、フットライトを浴びたようにほの白んだ。
と、見たこともないほどに赤い、恐ろしいほどに赤い一点が地平線に現れて
それがみるみるうちに上昇し、溶けるかのように真紅を脈動させながら
膨らみ、もはや直視できない光を放つ円盤となって
猛スピードでわたしたちに迫ってきた。

群衆は瞬時、息をつめて
どおん、と轟くような嘆声を放った。
それは日が昇る、というよりも
彼方にある太陽に向かって、
わたしたちの方がぐんぐん近づいていくように見えたからだ。

実際、その感想の方が正しいのである。
太陽は動かない。
動いているのは地球のほうであり
ぐるぐる回りながら太陽に向かって進んでいくのは
わたしたちの方だからだ。

岬に立って東の水平線を、そこから昇る朝日を眺めれば
まさしく船の舳先に立って、進んでいくかのように思えるだろう。

地球は時空を航海する船なのだ。


ワンドの3の人物。
彼は突端に立ち、遥かな水平線を見つめている。
海原は夕焼けの色を映し、長い一日がついに暮れたことを告げている。
彼は冒険に出て、ひとまわり成長して帰ってきたところなのだ。
しかし、その目は故郷に向けられていない。
次の目標、更なる目的にまっすぐ注がれていて、
決して過去を振り返ったりはしないのだ。


3という数は画期的である。

ひとつの物体や、概念があるとする。これが1。
それに対して、別の物体や反対の概念が現れる。それが2。

重ならない二つの点は、相容れない別の存在であることを意味する。
テーゼとアンチテーゼ。
対立する二つの概念。
それは決して、重なることも混じりあうこともない。
世界は光と闇に二分されて睨み合い、
白か黒かいつも選択しなければならない。
世界の端と端。
ターミナルな関係。

3という数字は、とんでもない次元からやってくる。

テーゼとアンチテーゼは、止揚されて高次元で統合する。
分断されたふたつのものは、別のレベルにおいて溶け合い、一致する。
地上で対立していても、天上ではひとつになれるのだ。
双方の眼に映ったものが、脳内で単一の画像になるように。
決して底までは解り得ぬ男女の心が、その子供の上でひとつになるように。

3という数字は、だから迷うことがない。
葛藤が解消され、次なる次元にぐんぐん伸びていく力が3なのだ。


山頂で日の出を待っていたとき、夜明け前のいちばん暗い空のもとで
わたしはたしか何かに迷い、何かを悩んでいた。
人生が大きく変わろうとしているときだった。
決められず選べない、煩瑣な思いがぐるぐると脳内を巡っていたが
それは来光の瞬間に、群衆のどよめきとともに、
どこかに吹き飛んでいった。

悩もうと悩むまいと、迷おうと迷うまいと、

地球という船は、わたしを舳先に乗せて
時速900ノットで、太陽に向かって進んでいることに
気付いたからだった。
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